何と言っても、先週はユーロ/ドルの下げが目立つ格好となった。週初めの26日には一時1.1201ドル処まで上値を試す場面があったものの、週末30日には一時1.1044ドル処まで下押す動きが見られたのである。
前回更新分の本欄の標題は「どこまでドル安は進むのか?」であったが、それは「そろそろドル安が一服してもおかしくない」との思いを滲ませたものであった。「そろそろユーロの上値余地が限られてくる可能性もある」とも述べたが、それを裏付けるかのように8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は弱めの結果となった。その上昇率(速報値)は前年同月比2.2%と、およそ3年ぶりの低水準に留まったのである。
むろん、30日は週末であり月末でもあったため、ポジション調整などを主体としたユーロ売りのフローが見られたことも見逃せない。また、昨年7月高値=1.1276ドルなど幾つかの節目が意識され、ひとたび1.12ドル台に乗せてからはユーロ/ドルに利益確定の売りが入り易かったということもあると見られる。
もちろん、先週は月末のドル買いフローも観測されていた。その前の週末(23日)までドル安がかなり進んでいたため、それを巻き戻す動きが出たのも道理。同時に、月末に絡んで米国債を売り戻す動きも見られ、米国債利回りが週を通じて上昇したこともドルの買い戻しを支える役割を果たしたと考えられる。
さらに、注目されていた7月の米個人消費支出(PCE)デフレータの結果が市場予想通りとなり、なおも米インフレの鈍化傾向は続いているものの、米国経済が一定の底堅さを保っていることも事実であると受け止められたことも安心感につながった。発表前の市場では、米大幅利下げ期待を後押しするような結果が出てくることを警戒するようなムードが一部にあったことも事実である。
なお、先週は週末にかけて米株市場でNYダウ平均が再び史上最高値を更新する動きとなったことも特筆すべきであろう。そこには米利下げ期待と米国経済の軟着陸(ソフトランディング)観測が同居しており、基本的にはリスクオンのムードが漂っている。
28日には米半導体設計大手、エヌビディアの5-7月期決算が発表され、その結果は十分に評価できるものであったが、事前の期待がやけに高かった分だけ「物足りない」との評価が一旦は同社の株価を下落させた。ただ、半導体関連株を中心とした目先のショック売り(過大な期待で買われ過ぎた分の調整)は限られたものとなり、むしろ先週末にかけては米・日株価がともに強含みの展開となった。
周知のとおり、米系短期勢はドル/円と日経平均株価をセットにして仕掛けるケースが多く、30日の日経平均株価が3万8500円処の節目を超えて引けたことも、ドル/円の戻りに一役買う格好になったと言える。
先週末のCME日経平均先物は大きく値を上げており、この週明けは米株市場が休場するとはいえ、東京時間の日経平均株価は底堅く推移すると期待される。その分ドル/円も一定の底堅さを発揮すると基本的には見ておきたいが、週を通じて考える場合には、ある程度の波乱に対する警戒も怠れない。
なにしろ、今週は注目指標の発表が目白押し。特に、4日に発表される7月の米求人件数や6日に発表される8月の米雇用統計については、その結果次第で市場全体が再びリスクオフのムードに包まれる可能性も否定はできない。そのうえで、ドル/円については146円台半ばの水準を回復できるかにまず注目。少なくとも週前半は、いきおい147円台を試す動きとなってもおかしくないと見る。むろん、週末にかけては様子見ムードが拡がると見おかねばなるまい。
(09/02 07:00)
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